top of page
International law is a common language of international society.
国際法とは、国際社会の共通言語である。
国際法とは?
国際法と聞いても、ほとんどの人はピンとこないと思います。それは、国際法をどこか「遠い存在」として見ているからです。しかし、本当にそうでしょうか。意識していないだけで、国際法は意外にも我々の日常に大きく関わってきています。
例えば海外旅行。国際法上、国家は自分の領域をどう管理するか、排他的な権限を持っています。なので、旅行先の国があなたを自分の国に入れたくないなら、入国を拒否されてしまいます。あなたがどんなに反論しようと、それは国際法という法律上の権限に基づいて行われる正当な行為です。あなたが他の人の家に入る場合、その家の人の許可なく入れないのと同じです(同意がないと、不法侵入罪で捕まってしまいます)。しかし、その家の人が「いいですよ」と言えば、あなたはその家に入ることができます。国際法でも同じで、旅行先の国が
図1:日本のパスポート
「いいですよ」と言えば、あなたはその国に入国することができます。ただし、その国は「いいですよ」という条件として、パスポートやビザの所持することをあなたに義務づけることができ、実際そうしているのです。このような全ての国が持つ自国に対する権利のことを、主権といいます。簡単にいえば、「自分の国のことを自分で決める」という権利ですね。国際法は、この「主権」を持った国家の間の関係を規律する法であり、構成員が国内社会と比較して大きな力を有していることを特徴としています。
図2:竹島
では日本が主張するように、ICJに判断してもらうことが可能かと言えば、そうではありません。それは、国際法上のルールが障害となってできないのです。これもまた、「自分のことは自分で決めることができる」という国家の「主権」が関わってきます。「自分はその紛争を裁判を用いて解決します」という自己解決を両当事者がしない限り、ICJを用いた紛争の解決をすることはできないのです。(ICJ規程36条)。したがって、裁判所を利用するためには、韓国と日本の間で「竹島問題を国際司法裁判所に解決してもらおう」という合意がなければならないのです。日本だけがそう考えていても、韓国の自己決定を覆すことはできません。国内社会では一方的に裁判所に依頼すれば裁判が始まりますが、国際社会では「主権」があるがゆえに、そうできないのですね。
最近ニュースでよく聞く竹島や尖閣諸島の領有問題は、国際法上これら島に対してどの国が「主権」を持っているか、という問題です。この問題を解決する際には、国際法を用いることが有用でしょう。国際法は、国と国との紛争を解決する基準・ルールを提供する役割を持っているからです。
このような法律上の問題を解決する際には、裁判所に判断を仰ぐという選択肢が考えられるでしょう。国内であれば、ある物が誰のものかについて争いがあれば、裁判所にそれを判断してもらうなんてことはよくあることです。実際、日本は竹島問題の国際司法裁判所(International Court of Justice。以下、ICJ)への付託を主張しています。
図3:国際司法裁判所(オランダ、ハーグ)
このように、国際法は主権をその一つの特徴としています。また国際法は私たちの身近に存在し、ときに私たちの生活に密接に関わるとても重要な法律だと言えます。しかし、竹島や尖閣諸島に対して主権を持つ国の国際法に基づく決め方をご存知でしょうか。日本・韓国、日本・中国両当事者にとって、どのような主張が可能なのでしょうか。これを知らず、竹島は日本の領土だとか、中国による尖閣諸島付近での漁業は違法であるとか、言えるのでしょうか。国際法は一見遠い存在なのですが、私たちの生活の根底に存在する法律であり、世界の中での日本を考える上でとても重要なのです。
国際法模擬裁判は、先に述べた国際法の現状を踏まえつつ、仮にICJに問題が付託されたならば、両当事者はどのような主張をできるのかを考える絶好の機会となります。
では、国際法模擬裁判は実際、どのようなものなのでしょうか。
bottom of page